コンサートシリーズ

《ツァイトプンクト》

第2回[ラウムコンプ]

 

東 俊介(作曲家)

東さんは2016年に開催しました第1回公演にも新作をお寄せくださいました。室内楽形式の演奏でしたが、それぞれの楽器を知り尽くした上でその可能性の極限までフル活用する作品であったと記憶しています。東さんはどの楽器に最も関心をおもちで、その楽器との出会いはどのようなものでしたか?

 

― 基本的には、自分がまだ書いたことの無い楽器に対してはもちろん、よく知っているつもりだった楽器でも「こんな音出るんだ、知らなかった!」と思うような新しい発見がいつもあるので、まだまだ自分には楽器がいっぱいあるのだなぁ…という思いとともに、関心は全ての楽器に対してあるかもしれません。

さらに言うと、楽器でなくとも素敵な音のする物は普段の生活の中にもたくさんあったりしますので、特別に何かに絞ることは難しいのですが、それでも何か例を挙げるとするならば、昨年初めて和楽器を使った曲(17絃箏の為の)を作曲する機会があって、それ以降尺八などの和楽器に関心があります。

 

今回の公演では2人の打楽器奏者のための作品です。東さんは「身のまわりのありとあらゆる物」から出る音に日頃から感覚を向けておられるとおっしゃっていましたが、このたびの新作ではどのような楽器を使われますか?また、「ここの楽器の使い方は自慢したい!」とご自身で言える〈聴きどころ〉もご紹介いただけますか?

 

― 今回の曲で使うのはボンゴ、シンバルなどのいわゆる「打楽器」から、押すとブーブー鳴る赤ちゃん用のおもちゃなど…いくつかあるのですが、それらを決めるヒントの一つになったのは、薬師川さんの作品から自分自身が感じた印象、そして薬師川さんから伺った、作品を作る際の作業工程や作品に込めた想いからでした。

それを踏まえて、ではこの絵画を見る時にはどんな音を聴いていたいだろう、そして逆に、どんな音を聴くとこの絵画への印象が変わるだろうと考えて、そこから音を探して楽器を決めていきました。

 

例えるならば、スイカに塩を振るとむしろ甘みが引き立ったりするような、もしくは二つの食べ物を一緒に食べると全く別の風味に変わるような…組み合わせ食べ合わせによる味(印象)の変化を、絵画と音楽の間でしてみよう…という中で、楽器の使い方でいうと、上記の他に自転車用のパフパフクラクション等、絵画の作品から受ける印象とはだいぶ遠いと思われる音も出てきます。

そんな「意外な食べ合わせ」を楽しんで頂けたら嬉しいです。

 

3月31日には海岸通ギャラリー・CASOの大空間が東さん、小出さん、薬師川さんによってプロデュースされ、お客様もいわば〈作品の一部〉になります。東さんはこれまで特定の空間を意識して作曲(特定の空間での演奏を目的に委嘱を受けられた場合やご自身で特定の空間を想像して作曲された場合を含む)されたことはありますか?

 

― 今までも、音がどうやって空間へ飛んでいくか…という音の響き方をイメージして作曲することはしていましたが、今回ほどの大きな、そして壁に絵画があってお客さんの配置まで決められるという特別な空間の為に作曲をしたのは初めてでした!大きな空間に対して、こちらもどっしり構えて空間負け(!)しないように努めながら作曲するのはとても新鮮で、新しい発見もたくさんありました。一体どのような曲になるのか、演奏会当日が楽しみです!